#57 23_4_3 肺癌のA君、漢方拒否 ― 2023年04月03日
(前回からの続きです)
あたしの幼馴染(おさななじみ)で当院の運営コンサルタントA君の肺に影がみつかった。細胞検査で肺癌が確定。転移がありステージ4のかなりヤバい肺癌。
手術は不可能で余命は5ヶ月。肺癌は進行が早いので、すぐ抗癌剤治療の準備が進みました。
あたし
「なぁ、A君。漢方薬も飲んでみたらどないや?」
A君
「そうやな〜。お前の所では、数々の奇跡を起こしてるからそれもありやな。3ヶ月の命と言われた肺癌の人が11年も生きたことがあったと言うてたな」
あたし
「やろ? ウチの診察受けてや」
A君
「ありがとう。でもな、その人は抗癌剤やって、しんどくて、癌の進行を止められず、医者に『何もすることがない』と言われたから来たんやろ?」
あたし
「そうや」
A君
「俺、まだこれから抗癌剤始めるんや。効くとか効けへんとか、わかれへん。主治医も『本当はわかれへん』と、正直に言うてくれた。
間質性肺炎という爆弾もかかえとる。漢方薬飲んで間質性肺炎が悪化して死んだ人もおるわな」
あたし
「そうや。しゃ〜から、あたしらも常に緊張しながら処方しとる。患者さんは心配せんでもええけど、あたしらは、むっちゃシビアに緊張しながらやっとる」
A君
「やろ? ほんでや。俺が間質性肺炎が悪化して、エクモとか使って、たまたまラッキーに生きてたとしよか。
ほんで、俺は漢方薬と抗癌剤を一緒にやってたとする。
俺の主治医は抗癌剤が原因やと考え投与を中止する。一方、お前のところは漢方薬が原因やと考え投与を中止する」
あたし
「そうや、何かあったら『自分が悪い、自分が原因』と思って緊張しながら責任もって診察しとる。当たり前や。医者はみんなそうや」
A君
「やろ? 両方中止や。ほんなら・・・、俺の癌治療は誰がするねん!」
A君は論理的にあたしを嗜(たしな)めた。ご意見番のA君にはかなわない。
あたし
「でも、お前は『抗癌剤なんてあかん』ってずっとゆうてたやん」
A君
「そうや、言うてた。俺の知合いが抗癌剤でボロボロになるのを見て来たから。癌といえど自分が体内で作った自分の細胞を殺すんやで。殺人兵器や。でもな『俺が抗癌剤やったら、どうなるんやろ』っていう興味でワクワクなんよ」
こいつ・・・・・、いっつもそうや。アタマん中、ぶっ飛んどる。
(つづく)
#58 抗癌剤ホンマに効いてる? 23.4.17 ― 2023年04月17日
(前回からの続きです。今までの流れをまとめます)
昨年の暮れ、あたしの幼馴染(おさななじみ)A君は、友人Bの勧めで人間ドックに行き、肺癌が発覚。余命は5ヶ月と言われた。
肺癌にはいろんな治療法があるが、間質性肺炎があるA君に使える治療法は限られる。
A君に『漢方薬も飲んだらどうか』 と勧めたが彼は論理的に拒否。抗癌剤だけで治療が始まった。(No.57参照)
さて、
1回目の抗癌剤は入院して行いました。A君が言うには抗癌剤は殺人兵器らしい。なぜなら患者の体内で作られる細胞を殺すから。
癌細胞は敵だと言われます。でも、その敵を作っているのは誰?
そうA君自身。癌細胞はA君にとっては実は仲間だと言う。
『自分の仲間を殺すんやから、しんどくなるのは当たり前やん』
と彼は言います。
1回目の抗癌剤は点滴で投与されました。点滴の液が何かの間違いで皮膚に触れたら、たちまち皮膚炎を起こしケロイドになる時もある。
ですから絶対漏らさないよう慎重に血管の中に流します。点滴中に異常がないか看護師たちは何回も慎重にチエックします。
数日後、あたしは入院中のA君に連絡しました。
あたし
「どうや? しんどくないか?」
A君
「それがな、全然しんどくないねん。吐き気とか食欲不振とか疲労感とか、いろんな副作用出るハズなんやけど、『元気 “はつらつ” オロナミンC』や。お腹も空いて病院食では足らんから、病院のコンビニで弁当買って食べてる」
あたし
「へぇ〜、良かったやん。よく患者さんから抗癌剤した後は、『むっちゃ疲れてゲロゲロになる』と聞くで。お前、ラッキーやな」
A君
「お前はアホやな。相変わらず短絡や。そんなんでクリニック経営してるんか? つぶれるで」
当院の運営コンサルタントA君は相変わらず手厳しい。
あたし「え?」
A君
「副作用の反対は何や? 主作用やろ。副作用が出ないとゆうことは、主作用がない。つまり今回の抗癌剤は俺には効いてないということやん。
主治医にそう言うたら『今後2回、3回と繰り返すウチに副作用は必ず出ます』といいよる。毛が抜けるんやて。人生初めての抜け毛や。それ聞いたら、ワクワクするやん」
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彼は、明らかに狂っとる。『きっと脳にも癌が転移して、思考がおかしくなってるんや』と、あたしは密かに思いました。勿論、彼には言いませんよ。次回は5月1日配信予定。 (つづく)
昨年の暮れ、あたしの幼馴染(おさななじみ)A君は、友人Bの勧めで人間ドックに行き、肺癌が発覚。余命は5ヶ月と言われた。
肺癌にはいろんな治療法があるが、間質性肺炎があるA君に使える治療法は限られる。
A君に『漢方薬も飲んだらどうか』 と勧めたが彼は論理的に拒否。抗癌剤だけで治療が始まった。(No.57参照)
さて、
1回目の抗癌剤は入院して行いました。A君が言うには抗癌剤は殺人兵器らしい。なぜなら患者の体内で作られる細胞を殺すから。
癌細胞は敵だと言われます。でも、その敵を作っているのは誰?
そうA君自身。癌細胞はA君にとっては実は仲間だと言う。
『自分の仲間を殺すんやから、しんどくなるのは当たり前やん』
と彼は言います。
1回目の抗癌剤は点滴で投与されました。点滴の液が何かの間違いで皮膚に触れたら、たちまち皮膚炎を起こしケロイドになる時もある。
ですから絶対漏らさないよう慎重に血管の中に流します。点滴中に異常がないか看護師たちは何回も慎重にチエックします。
数日後、あたしは入院中のA君に連絡しました。
あたし
「どうや? しんどくないか?」
A君
「それがな、全然しんどくないねん。吐き気とか食欲不振とか疲労感とか、いろんな副作用出るハズなんやけど、『元気 “はつらつ” オロナミンC』や。お腹も空いて病院食では足らんから、病院のコンビニで弁当買って食べてる」
あたし
「へぇ〜、良かったやん。よく患者さんから抗癌剤した後は、『むっちゃ疲れてゲロゲロになる』と聞くで。お前、ラッキーやな」
A君
「お前はアホやな。相変わらず短絡や。そんなんでクリニック経営してるんか? つぶれるで」
当院の運営コンサルタントA君は相変わらず手厳しい。
あたし「え?」
A君
「副作用の反対は何や? 主作用やろ。副作用が出ないとゆうことは、主作用がない。つまり今回の抗癌剤は俺には効いてないということやん。
主治医にそう言うたら『今後2回、3回と繰り返すウチに副作用は必ず出ます』といいよる。毛が抜けるんやて。人生初めての抜け毛や。それ聞いたら、ワクワクするやん」
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彼は、明らかに狂っとる。『きっと脳にも癌が転移して、思考がおかしくなってるんや』と、あたしは密かに思いました。勿論、彼には言いませんよ。次回は5月1日配信予定。 (つづく)
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